日本国憲法 第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
私たちは、井上ひさし氏ら9人の著名人のアピール(2004年6月)に賛同し、筑波研究学園都市研究所・大学関係者の憲法9条を守るという願いを広く国民に伝えることを目的として、この会を設立しました。ますます強くなっている改憲の動きをなんとしても阻止するために、私たちの願いをまとめた「筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会アピール」への賛同者を圧倒的多数に広めることが、大変重要だと考えています。
内閣府は昨年12月6日、「日本学術会議の在り方についての方針」を公表した。学術会議の会員選考や活動内容への政治介入を可能にし、学術会議の独立性を否定するものである。政府は、学術会議が真摯に改革に取り組んでいるのに、これを無視して、改革法を3月までに提出しようとしている。私達は、政府の方針は憲法に保障された日本学術会議の独立性を犯すものと強く危惧し、次の通り声明を発表する。
《声明》日本学術会議の独立性を否定する政府方針の撤回を求める
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
2022年12月6日に内閣府が公表した「日本学術会議の在り方についての方針」は、学術会議会員選考に第三者を参画させ、「内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じる」としている。また学術会議の活動についても、「政府等との問題意識・時間軸等の共有」が行われるよう措置するとして、学術会議を政府の意に沿う御用機関に変質すること狙ったものである。
岸田政権がこのような方針を打ち出した背景には、「敵基地攻撃能力」保有をはじめとする大軍拡を進めることがある。最先端の科学技術を兵器の開発につなげる「経済安全保障重要技術育成プログラム」の課題募集が始まっており、産・官・学共同による大型プロジェクトを推進する上で、軍事研究拒否を発信してきた日本学術会議の活動が障害になっているからである。
学術会議は、自己改革の検討を進めており、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を発表し、ナショナルアカデミーとしての役割を果たす上で満たすべき5つの要件として、 (1)学術的に国を代表する機関としての地位、 (2)そのための公的資格の付与、 (3)国家財政支出による安定した財政基盤、 (4)活動面での政府からの独立、 (5)会員選考における自主性・独立性 があることを指摘した。この5要件は各国のナショナルアカデミーの組織が存立する上での国際標準になっている。
政府の改革方針に沿って学術会議が従属することになればどうなるか? 日本は、アジア太平洋15年戦争敗戦という歴史の試練を受けて手にした民主主義国家という地位を失い、国際的にも非民主国家として評価されることになる。 時代遅れの独裁国家として侵略戦争を引き起こしているプーチンが、2010年代にロシア科学アカデミーを強権的に改変して政府に従属させた結果、ロシア科学アカデミーが国際アカデミアから信用を失ってしまったことを想起すべきである。
日本学術会議法は日本国憲法第23条「学問の自由は、これを保障する」に基いており、これを否定する政府の改革方針は憲法違反である。
私たちは、日本学術会議の独立性と学問の自由を守るため、内閣府の「日本学術会議の在り方についての方針」の撤回を強く求める。
2023年2月25日
2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵略を始めて以来、平和解決の目処もまったくない中で、連日多数の市民が犠牲になっている。私たちはこの事態を憂慮して「ロシアのウクライナ侵略を抗議する声明」を発し、声明文をロシア連邦大使館およびウクライナ大使館に届けた。ロシアが軍事侵攻を直ちに停止し、ウクライナとの対話をすることを改めて求める。
《声明》 ロシアのウクライナ侵略を抗議する
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
ロシアがウクライナに侵攻してから13日間が経過した。ウクライナの都市では、ロシア軍の攻撃によって、多くの建物が破壊され、多数の市民が犠牲になっている。市民生活に欠かすことができない電気、ガス、水道などのインフラが破壊され、ウクライナ国内は、危機的な状況にある。ウクライナから多くの人々が国外に脱出しており、既に、200万人以上の避難民が生まれている。
この軍事侵攻は、ロシア側にいかなる理由があろうとも、国連が「主権の尊重」「領土の保全」「武力行使の禁止」を国連憲章で加盟国に義務付けていることから、明らかに国連憲章違反である。さらに、プーチン大統領は、核戦力「特別態勢」の命令を発して、核兵器の使用を示唆していることは「核兵器を使用しない」とした、ロシアも参加した核保有5か国の共同声明(今年1月)を反故にしており、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアが行うべきでない恥ずべき行為である。
国連では3月2日に「ウクライナ情勢に関する国連総会緊急特別会合」を開催し、ロシアのウクライナ侵略を非難する決議を加盟国の7割以上の国の賛成で採択した。これには、「国連憲章を守れ」「ロシア軍の無条件即時撤退」「ロシアの核兵器威嚇を非難」が書かれており、採択後、国連事務総長は「対話と外交の扉を今すぐ開け」とロシアに訴えた。
私たちは、つくば市に憲法9条を守る目的で結成された「筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会」である。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という日本国憲法第9条の立場からロシアのウクライナ侵略を非難する。また、唯一の被爆国の国民として、核兵器の先制使用を示唆したプーチンロシア大統領の暴言を非難する。
私たちは、国内外の科学界や平和運動と連帯してロシアによるウクライナへの侵略を強く非難するとともに、ロシアが軍事侵攻を直ちに停止し、部隊を撤退させ、ウクライナとの対話をすることを求める。
2022年3月9日
《声明》 日本学術会議の変質を狙う「学術会議組織の在り方に関する政策討議」をやめ
6名の学術会議会員を直ちに任命せよ!
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
菅・前首相が日本学術会議(学術会議)の会員6名を任命拒否してから1年が過ぎた。今年の4月には、「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI)が「有識者議員懇談会」で学術会議組織の在り方について討議をすることを決めた。この「日本学術会議の在り方に関する政策討議」という会合は、5月20日に第1回を開き、11月まで5回開かれた。この会合に、学術会議の梶田会長も参加しているが、討議の場は非公開で運営されており、1か月遅れで議事要綱が発表されるものの、発言者の氏名が隠されているため、誰の発言か不明で、発言に責任を持った議論が行われているとは思えない。「議論の内容によっては梶田議員に御遠慮いただき、」と上山隆大座長(元政策研究大学院大学副学長)が決めており、学術会議の今後を左右する議論の際には、梶田会長の参加を認めないという方針で進めている。
7月の第2回会議では、「今のように国の予算の中で対応するのか、・・ 答申依頼が来れば、関連する費用を政府が出してくれればやるというスタイルもあるが?」という質問に対して、「学術会議は独立して学術的な観点から職務を行うということは、決して忘れることはできませんので、政府からの諮問に応じて審議を行うのみになることは我々としては考えていない」と梶田会長は毅然と答えた。
8月の第3回会議では、「科学的に正しいことと、政治でどう実行するかはイコールではない。うまく科学と政治のギャップを埋めるという機能は事務局だけではできず、学術会議に中の意識改革が必要だ。」という意見が出た。つまり、学術会議は科学的な知見ばかり主張するのではなく、政治的な立場を配慮しろと言っているのである。
9月の第4回会議では、2015年の答申を出した当時の有識者会議座長の尾池和夫氏が「国の機関でありつつ法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいものであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい」と当時の答申の結論を説明したが、これに対して、「何故そのような結論になったか」と蒸返すような議論が展開され、学術会議の変質へつなげようとしている。
岸田内閣は、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否問題について、岸田内閣として新たに任命する考えがないとの認識を示しており(10月7日の松野官房長官記者会見)、「日本学術会議の在り方に関する政策討議」を続けていく姿勢である。 日本学術会議はあくまで、6人の会員の任命を求めていくことを表明しており、1600以上の学術団体,市民団体,大学教職員組合などが任命を求めており、直ちに6名を任命するべきである。
私たちは6人の会員の任命を求めることを支持し、政府の意に沿う学術会議の変質を狙う「日本学術会議の在り方に関する政策討議」をただちにやめることを主張する。
2021年11月20日
《声明》核兵器禁止条約の発効に際して:核兵器禁止条約発効を歓迎する
――被爆国・日本政府はただちに参加・批准せよ――
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
1. 広島・長崎の原爆投下から75年経て、ようやく核兵器禁止条約が発効した。この発効は、この間続けられてきた被爆者の粘り強い活動と全世界の核兵器廃絶を願う政府と市民社会の共同した取り組みによる成果である。この条約は、核兵器を非人道兵器であるとして、開発、実験、生産、保有、使用、さらにはその威嚇も全面的に禁止し、核兵器廃絶に向けた道筋を指し示す画期的な国際法である。核兵器にしがみ続ける核保有国とそれに追随する核兵器依存の国々は、国際規範に反する存在となり、いっそう孤立を深めていくことになるだろう。
2. この条約に、日本政府は未だに参加していない。それどころか、「条約は安全保障環境を考慮していない」などと、核保有国と共にその実現を事実上妨害する態度をとりつづけている。「核保有国と非核国の橋渡し役」を真摯に掲げるならば、この条約に参加したうえで、双方をつなぐ対話を求めることが本筋であると考える。被爆国日本政府の核兵器禁止条約への参加は、アジアと世界の核兵器禁止・廃絶への流れを励ますという極めて重要な意義を持つ。
3. 当面、来年1月のNPT再検討会議に向けて「ヒバクシャ国際署名」をさらに広げ、核兵器国とその同盟国に核兵器禁止条約への参加を求めること、また、NPT再検討会議がこれまで確認してきた「核兵器の完全廃絶」の約束の実行を迫ることが重要である。
私たちは、核兵器廃絶を一刻も早く実現するために、日本政府に核兵器禁止条約への参加を求めるものである。
2021年1月24日
(緊急声明)日本学術会議会員6名の任命拒否に抗議し、その撤回を求める
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
菅義偉首相は、第25期日本学術会議新規会員の任命に際し、日本学術会議が推薦した会員候補者105名中6名を新会員に任命せず、その具体的な理由も明らかにしていません。
日本学術会議は、政府から独立して職務にあたり、また政府に勧告をすることができる学術機関として内閣府に設置され、会員は学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と日本学術会議法に規定されています。菅首相が具体的な理由を示すことなく6名の任命を拒否したことは日本学術会議法に違反する行為です。
日本学術会議が政府の介入を受けることなく自由に活動できることは、憲法23条が保障する「学問の自由」に基づくもので重要な権利のひとつです。
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会は政府による日本学術会議会員の任命拒否に強く抗議します。政府に対し、速やかに今回の決定に至った理由を説明するとともに、任命拒否の撤回を行うよう求めます。
2020年10月17日
菅首相による日本学術会議会員6人の任命拒否は、日本学術会議法に反し、憲法23条の「学問の自由」を侵す、違憲、違法行為です。日本学術会議法には、「会員は、・・、(学術会議の)推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と書かれており、推薦に基づかない任命はできないことになっています。この任命条項は学術会議が政府から独立した機関であることを担保しています。すなはち、政府が学術会議の人事に介入することができないことを意味しており、政府が「人事問題だから答えられない」と言うこと自体が法律違反の上塗りです。
日本学術会議が「政府とは独立に」勧告等をすることができると法律に定められています。これは第二次世界大戦前の大学や学問への政治介入への反省から来ていて,世界的にも先進諸国ではそのように社会的な了解が得られています。日本学術会議と同様に科学者が政府に対して提言を行う学術機関は欧米各国にもあり、政府から独立した機関として運営されています。
国際的な科学誌として知られる「ネイチャー」は、学問の自律性と自由を守るという何世紀にもわたって存在してきた原則を、政治家が後退させようとする兆候があるとしたうえで、日本学術会議の問題を取り上げ「日本の菅総理大臣が、政府の科学政策に批判的だった6人の科学者の任命を拒否した」と紹介しました。
例えば、アメリカの学術機関は「アメリカ科学アカデミー」、「アメリカ工学アカデミー」と、「アメリカ医学アカデミー」があり、科学や技術に関する幅広い政策課題に関して、政策提言や助言を年間数百件行っています。財源は助言を行った際に政府機関から支払われる対価や寄付などで、2018年で3つのアカデミー合わせて約270億円の収入を得ています。
イギリスには世界で最も伝統のある学術機関「王立協会」があり、当時の国王、チャールズ2世から認可を得て、1660年に設立されました。設立の経緯から名称は「王立」となっていますが、民間の非政府組織として活動していて、科学や技術に関する政策提言を行っています。財源は、2018年には政府からは約70億円の収入を得ています。日本学術会議の予算は、およそ年間10億円と欧米の学術機関に比べると大幅に少なくなっています。
首相が6人を学術会議の「総合的、俯瞰的な活動」にとって、科学者としての資質に欠けた人物であると評価したのであるならば、その評価の根拠を示すべきでしょう。6人の任命拒否を許せば、学術会議までも、御用学者の会員で埋め尽くされ、政府を忖度して、科学に基づかない勧告を連発するようになり、学術会議の存在意義がなくなります。私たちは、御用学者が出した答申によって、例えば原子力政策のように、国家の政策がゆがめられ、大きな被害を受けたことを知っています。科学的知見に基づく、日本学術会議の提言を尊重してこそ、国民の利益にかなうのであります。何としても、『6人の任命拒否』を撤回させ、政府から独立した学術会議を守りましょう。
2020年10月17日 研・学9条の会世話人 手島昌己
福島第1原発廃炉作業の問題と東海第2原発再稼働の危険性について
2020年2月8日に、元日本原子力研究開発機構労働組合中央執行委員長・日本科学者会議原子力問題研究委員会委員長の岩井 孝氏を招いて、第25回講演と対話の集いを開催しました。
岩井氏は、講演の中で、
ということを明らかにしました。
集いに参加した方からは「東海第2原発の問題点がよくわかった」「多くの人に聞いてほしい話だった」などの感想が寄せられました。
東アジアの平和と日本の安全保障
2019年6月16日に、外交評論家・東アジア共同体研究所所長の孫崎 享氏を講師に招き、第24回講演と対話の集いを開催しました。今回の集いは、憲法9条の会つくば・つくば市平和委員会・全日本年金者組合つくば支部・新日本婦人の会つくば支部・新しいつくばを創る市民の会の協賛を得、約85名の参加がありました。
孫崎氏は、正しいことを正しいと言わない国になっている日本を憂い、北方領土問題、駐留米軍問題、核の傘などを題材に、日本国民が当たり前と思っていることが実は当たり前でない事、報道されるべきことが報道されていない事、核時代の軍事戦略などについてお話し下さりました。最後に、今は憲法改正で極めて重要な時期に差し掛かっているとし、選挙での判断の大切さを訴えました。
講演、討論の概要:ニュース65号, 講演内容と質疑の詳細
軍事研究に関する日本学術会議の声明から1年・その意義と残された課題
日本学術会議は「安全保障と学術に関する検討委員会」 が審議してきた 『軍事的安全保障に関する声明』を発表し、「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」との、これまでの二つの総会声明を継承することを決定しました。 「安全保障と学術に関する検討委員会」の委員を務められた、小森田秋夫氏を講師にお迎えし、2018年7月1日に”日本学術会議声明から1年” を主題とした『第23回講演と対話の集い』を開催しました。
小森田秋夫氏の講演では、冒頭に「学術会議の声明が ”学問の自由”に力点を置き、それを前面に押し出していることに、疑問あるいは違和感があることは承知しているが、自分はそれを擁護する立場である。そのことを前提にして、改めて論点を整理する。」と発言され、用意された100コマ以上の豊富なスライドをもちいて「学術会議検討委員会」での議論の詳細を報告されました。
第2部では、物質・材料研究機構、高エネルギー研究機構、農業.食品産業技術総合研究機構の研究者からの報告もあり、質疑応答と大変活発な討論がなされました。
安倍首相による9条改憲のねらいと闘いの展望
安倍首相による9条改憲の危険が強まるなか、2017年11月19日に第22回講演と対話の集いを開催し、水戸翔合同法律事務所の谷萩陽一弁護士に、安倍9条改憲の本質的な問題点などを法律の専門家の視点からお話していただきました。
安倍首相は、就任当初から改憲に意欲を示してきましたが、「憲法9条に自衛隊を明記する」という案を示して2020年までに改憲を実現するとしています。安倍改憲のねらいは何か・阻止するにはどうするかを話し合いました。
2017年5月14日(日)に、つくば市小野川交流センターで、茨城大学名誉教授・田村武夫氏と東京農工大学准教授・多羅尾光徳氏を講師に迎えて、第21回講演と対話の集いを開催しました。
集いでは、「安全保障技術研究推進制度」の大幅な拡張や、日本学術会議総会における「軍事的安全保障研究に関する声明」などの情勢を受けて、大学・研究機関における軍事研究の問題、軍事研究を行わない根拠として、日本国憲法の平和主義・学問の自由のもつ意義と役割などについて話し合いました。
講演、討論の概要:ニュース56号
安倍内閣は、犯罪の計画段階で処罰するという、新たな「共謀罪」を通常国会に提出しようとしている。これまで、国民の強い反対により、2003、04、05 年と、3度にわたって廃案になった「共謀罪」の名称を変えて、“テロ”防止を看板に、『テロ等準備罪』法案として再提出するものである。
我々はこの『法案』(以下「共謀罪」と呼ぶ)の国会提出に断固反対する。
「共謀罪」は、日本を日中・太平洋戦争へと駆り立てた、民族・国粋的なファシズム体制を支えるためにつくられた狂暴で凶悪な『治安維持法』そのものである。「治安維持法」は国体変更・私有財産否定を取り締まる口実で、1925年に制定されたが、実際は、ファシズム体制を支えるための思想の取締法であった。
非合理な国粋主義を掲げて、反共、反民主の狂信的な行動によって集会結社の自由を奪い、宗教団体・政党をも弾圧した。 1941年、太平洋戦争開戦の年の改定では、さらに結社の禁止を設け、何かを為す恐れがあるという理由だけで拘束できる『予防拘禁』制度を設け、悪名高い「特高警察」は一般の人々を対象に、心の内面にまで干渉し、平時に在って猛威を振るい、テロ、拷問、虐待の限りを尽くし、多くの人を獄死に導いたことはよく知られている。
安倍内閣は提案理由にテロ防止を掲げ、オリンピック遂行に不可欠であり、国連総会が決議した「国連越境組織犯罪防止条約」批准に必要であると説明しているが、ここには二重の虚偽がある。
先ず、テロ防止については既存の『組織犯罪処罰法』等で対応が可能であり、法を新設する必要は全くない。「国連越境組織犯罪防止条約」 批准に際しても新しく国内法準備の必要はなく、国連がそれを要求しているわけでもない。またこの条約は経済的な組織犯罪の予防を目的とするもので、テロ取り締りとは本来無関係である。
一時行事、オリンピックを持ち出し、そして、法と国際問題に比較的関心の薄い日本国民に虚偽をもって「共謀法」導入を謀る姑息なやり方を見過ごすことはできない。
「共謀罪」法案は次の問題点を有する:
以上により「共謀罪」を国会に提出することに断固反対する。
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 第112回世話人会 2017.1.14
大学・研究所の軍事研究の実態−戦争する国づくりと軍学共同の動き−
2013年に再登場した安倍政権は直ちに武器禁輸三原則の大幅緩和に踏み出し、「武器で設ける国」への道を突き進んでいます。さらに、昨年度には「軍学共同」と称する制度を正式に発足させ、憲法違反の「戦争法」の下で、日本の科学・技術研究者を軍事研究に取り込もうと画策しています。「軍学共同」の問題を深刻に考え、2016年7月30日に表記のテーマによる対話集会を開催しました。
憲法を犯し、民主主義を破壊する安倍政権を糾弾する(声明)
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 第99回世話人会
TPP、消費税増税など国民生活を破壊に導く問題が山積するにも拘らず、国民が要望し、憲法が保障する臨時国会の召集を安倍内閣が拒否している。
また、沖縄県民の総意に基づき、事態の展開の経緯を踏まえ沖縄県が政府に通知した「辺野古埋め立て承認取消」に対し、安倍内閣は県民の意思に逆らい、それへの不服申し立てを行い、「承認取り消し」効力の停止を決定、その一方で、国が埋め立て承認取り消しを撤回する「代執行」を求め司法に提訴した。政府の対応は何れも法を無視し、且つ法の適用が許されないものである。
憲法の規範に逆らい、法を犯し、民主主義を破壊する安倍政権の度重なる暴挙を断固糾弾する。
2015年11月21日
安倍内閣が執着する初等・中等教育を考える
「教育基本法」改悪を手始めに、日の丸掲揚・国歌斉唱、教育委員会改組、初等・中等教育の道徳教科化など、安倍内閣が異常なまでの執念を見せて、次世代・次次世代教育に介入を図っています。個人の尊厳を蔑ろにし、歪んだ社会観を押し付けることは国の将来を危うくします。2015年11月8日に第19回講演と対話の集いを開催し、安倍政権が執着する教育問題を取り上げて、彼らの歴史認識を問い、暴走する自民党と安倍政権の思考の原点を考えました。
戦争法のすみやかな廃止と、安倍政権の退陣を求める(決意表明)
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 第98回世話人会
9月19日、政府・与党は強行採決を度々重ねて、強引に憲法違反の戦争法案を成立させました。法案は、内容において明瞭に憲法に反し、その成立過程において無効とされるものです。
われわれは、一内閣の恣意的な意向で、戦後70年、営々と築いてきた平和主義に立脚する日本の地位を安易に投げ捨てる暴挙を決して認めることはできません。立憲主義の原則を理解せず、主権在民を蔑ろにし、平和と民主主義に敵対する安倍内閣と政府・与党に対して断固抗議するとともに、戦争法のすみやかな廃止をめざすことを決意します。その為にも、暴走する安倍政権に対峙する人々と連帯して、一刻も早い退陣を求める運動に協力します。
2015年10月17日
辺野古新基地建設地「埋め立て承認取り消し」を表明した、「翁長沖縄県知事の通知」を強く支持します(声明)
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 第98回世話人会
2015年10月13日、翁長沖縄県知事は政府・沖縄防衛局に対し仲井真前知事の行った名護市辺野古埋め立て承認を取り消す通知「公有水面埋め立て承認取消通知書」を発しました。沖縄県民の総意を受けて行われた辺野古「新基地」建設を阻止する知事の判断と決意を私たちは強く支持します。
防衛省沖縄防衛局は翌14日、「行政不服審査法」に依拠して国土交通相に不服審査請求を申し立てて、同時に、執行停止申請を行ったと伝えられます。「国が私人としてそういう訴えをすることは条文上できないと思う」、また、「国の訴えを国が判断することについて、多くの方が疑問に思うのではないか」と翁長知事が13日の記者会見ですでに的確に指摘されている如く、政府が法にもとるがごとき対応を採るべきではありません。政府は沖縄県民の総意を真摯に受け止め、県知事の通知を尊重すべきです。私たちはそのことを政府に強く求め、申し立ての撤回を求めます。
沖縄の基地の問題が、決して、沖縄だけに閉じた問題でないことは自明のことです。在日米軍基地の問題は日本国全体の問題であり、これまでも中央政府が正しく対応してこなければならなかった問題です。一方で、米軍沖縄基地問題を通じ、沖縄県民と翁長県知事は日本国憲法が示す地方自治の持つ意味、そして、地方自治体(地方政府)と中央政府の関係が如何に在るべきかを私たちに教えてきました。
翁長知事が談話において「通知」の意義について質問された際に述べた言葉、「戦後70年のあり方、沖縄の過重な基地負担や、地方自治体がここまで国に追い詰められており、日本の民主主義について国民全体が考える機会になればいいと思う」をしっかりと受け止めなければならないと考えます。
2015年10月17日
2015年6月7日に、第18回講演と対話集会「結成10周年を迎えて-憲法9条を根底から覆す「戦争立法」と改憲の暴走を止めるために・・」を開催し、研・学9条の会・高松邦夫氏、KEK9条の会・和気正芳氏、阿見町九条の会・中山照之氏から話題提供がありました。
講演内容:ニュース45号(その1)、ニュース45号(その2)
対話:ニュース46号
2014年11月16日に、茨城大名誉教授・田中重博氏を招いて第17回講演と対話集会「今なぜ地方創生か--『地方消滅』論批判と地方再生の課題」を開催し、つくば市や土浦市などから30余の方々が参加しました。
田中氏は地方創生・女性が輝くと掲げたスローガンのいい加減さを批判して、増田レポートが提起した「少子化と人口減少で地方消滅」のショックに乗じて行われようとしている施策には注意が必要であり、それらは自治体再編・道州制に道を開いてゆくものであることを指摘されました。50%で消滅には根拠がないこと、若い人の農村回帰傾向の過小評価、そして若年層が何故子供を作ることができないかという構造的分析が欠落していることが指摘されました。
真の地方再生には、住民主体の地域づくり―それらは人づくり・社会教育である―を強調され、地方での実践例を紹介、町村合併が住民自治を衰退させてきたことが語られました。
2014年6月8日(日)に、憲法学者の立正大学名誉教授・金子 勝氏をお招きして、講演と対話のつどい「暴走する安倍内閣の狙いは何か 第九条の国を安保の国に-- 憲法の語り部になろう--」を開催しました。つどいには35名が参加し、日米安全保障条約、安倍総理大臣の唱える「積極的平和主義」の本質、日本国憲法の素晴らしさを周囲の人に伝える「憲法の語り部」の大切さなどを学びました。
金子先生の講演の概要は以下のとおりです。皆様も「憲法の語り部」に加わって、「平和的福祉国家」実現のために、日本国憲法の素晴らしさ、安倍内閣の醜さを広めていきましょう。
2013年10月27日(日)に、つくば市大穂交流センターで第15回講演と対話の集い「安倍内閣のもとで憲法はどうなるのか、日本はどこへ向かおうとするのか」を開催しました。
原発事故も収束しない段階で再稼働を表明し、消費税増税・賃金抑制と物価上昇・TPP参加など、国の経営と国民生活に真っ向から反する政策を進めています。昨年末の衆院選挙では争点を外した憲法問題を、今や前面に掲げ、復古調憲法への回帰ともいえる「憲法改正」を目指しています。これは国民主権と国のあり方に、そして国際関係にも大きな影響を及ぼす深刻な問題です。
集いでは、浦田一郎氏(明治大学法学部教授 憲法学)に基調講演をお願いし、児玉正文氏(前全農林筑波地本書記長)、樋田幸男氏(憲法9条の会つくば)、和気正芳氏(KEK九条の会)から話題提供を受けて、安倍内閣が日本を何れの方に向かわせようとするのか、この危険な状況を語り合いました。
浦田氏:集団的自衛権と憲法解釈の変更 (安倍政権下の憲法の危機―集団的自衛権論を中心に)
児玉氏:私達は軍事研究に手を貸しません筑波農林研究団地平和宣言(1987年)
樋田氏:憲法9条を変えさせないために 街頭署名で市民との対話から学ぶ
和気氏:日本国憲法と国連憲章
憲法の危機に、どのように立ち向かうか
自民党は天皇の元首化、9条の放棄、基本的人権の制限等、いわば明治憲法回帰への途をはっきりと示しています。「安倍改憲政権」が復活して4カ月、早くも武器輸出三原則の大幅緩和に踏み出し、TPP参加を決定し、原子炉再稼働を表明しています。このような状況下で、現状の分析と問題点・課題と対応について広く議論を展開する場を提供するために、対話を中心にしたつどいを開きました。
集いでは、緒方章宏氏(茎崎9条の会)の基調講演「安倍政権の成立と改憲の危機」に続いて、6名のパネリスト(長田満江氏(憲法9条の会つくば)、本間博幸氏、中村一氏(KEK九条の会)、小滝豊美氏(学研労協)、竹森信氏(産総研平和の会)、澤田紀一氏(研学9条の会))から、それぞれの憲法に対する思いを語っていただきました。それぞれの発言の詳細は 9条の会ニュースpart1 part2 part3 をご覧ください。
「大阪維新の会」の動向と問題点
最近、橋下徹大阪市長の率いる「大阪維新の会」の動きが注目されています。大阪維新の会の政策の基本を定めた「維新八策」は、維新の会が目指す国家像を創りあげるために「決定でき、責任を負う民主主義」、「決定でき、責任を負う統治機構」の確立を挙げています。そして、そのために首相公選制の実施、参議院の廃止、憲法改正要件の緩和など憲法改正を必要とする統治機構の作り直しを行うとしています。
2012年11月11日に、清水雅彦氏(日本体育大学准教授 憲法学)を講師にお招きし、大阪維新の会の本質と問題点、なぜ人気があるのか、維新の会の動きにどのように対処すべきかなどについて、講演と対話の集いを開催しました。
3月11日の東日本大震災と大津波に続いて起こった、福島第1原子力発電所における原発事故による放射能汚染被害は、甚大なものであり、未だに収束の見通しがたっていません。事の重大性に鑑み「筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会、世話人会」では、福島第1原発事故について、以下のように見解を表明することに致しました。
本見解をまとめるにあたり、世話人から多様な意見が寄せられました。詳しくはニュース28号をご覧ください。
福島第1原子力発電所事故に対する見解
筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会 世話人会
2011年3月11日午後2時46分に発生した三陸沖を震源とするM9.0の東日本大震災とともに大津波が岩手、宮城、福島、茨城、千葉の各県沿岸地域を襲い、多大なる人的、財産的被害が発生した。同時に、東京電力福島第1原子力発電所では、全ての電源が喪失することにより、炉心の冷却機能が消失し、炉心溶融、水素爆発などを伴う深刻な原発事故を発生せしめた。その結果、高濃度の放射性物質が大気中や海水中に拡散し、広い地域で住民の避難が強制されることとなった。
原発事故後4ヶ月を経た今日においても、未だ高濃度の放射性物質を放出し続け、収束の目途も住民の避難解除の目処もたっていない。
これまで、人類は、自然のもたらす恩恵を受けつつ自然と共存しながら生存を維持してきた。しかし、原発はひとたび事故が起きれば、人間の生命と健康が脅かされ、自然を破壊し、生態系をも変化させる危険性がある。原発はウランやプルトニウムの核分裂反応の熱で発電しており、人間の持つ技術力は、完全には制御できない危険性を有している。しかも燃料を燃やした後に残る使用済燃料(死の灰)は、何千年、何万年と放射線を出し続けるため、長期間の封じ込めが必要であり、孫子の代まで放射性物質の脅威と危険におびえながら、人間として生活し続けなければならない。
原発は、電力会社、政府、原発を推進してきた学者によって、「夢のエネルギー」として喧伝され、「安全神話」のもとに推進されてきた。今回の原発事故は、原子力は安全に制御できる、という人々によって「安全神話」で引き起こされた人災である。今回の事故では、原子炉本体の冷却機能が消失した数時間後に炉心溶融という重大事態によって危険なストロンチュウムの漏洩が生じていたが、このことが発表されたのは二ヶ月以上経った後であった。事故の収束行程表もこの事実を隠したまま作成されており、国はもちろん東京電力も国民に対し虚偽の発表をし続けていたことになる。
今回の原発事故は、人類の持つ原子力を制御する技術が、いかに未熟で未完成であるかを示したものである。原子炉は中性子照射などにより劣化する。溶融を起こした福島第1原発の原子炉は、いずれも33年以上使用されてきたものである。しかも活断層が多い地震の多発する日本に原発の設置は極めて危険である。子どもは未来を担う大切な存在である。幼い子どもたちは大人に比べ放射線に対する感受性が数倍高いといわれている。未来を担う子どもたちのためにも、国および東京電力は、内外の叡智を結集して事故を早急に収束させなければならない。さらに、原発に対する規制機関は、その独自性と責務を明確にするため、各省庁から独立した機関とすべきである。また、政府はあらゆる情報を全面的に国民の前に開示してこそ、民主主義国家としての最低限の義務を果たしたことになる。
世界でも有数の地震多発国であるわが国が、原発を稼動させ続けることは、国民に重大な危険を背負わせることになる。放射性セシウムによる汚染牛の広がり一つを見ても、放射能による大気汚染、土壌汚染、海洋汚染が、計り知れない危機として国民の前に迫っているのである。
私たちは、政府・財界・電力会社に対し、自然エネルギーへと政策転換を行うべきであると強く主張する。環境省が推計する自然エネルギーは、日本の原発54基が持っている発電能力の40倍の潜在力を持っており、将来、原発に頼らなくても国内の供給電力を十分賄うことができるのである。原子力発電が軍事兵器開発と深く関わって推進されてきた。私たちは、これからのわが国のエネルギー政策のありかたを考えるにあたって、原発事故が発生した直後、これからの農業に絶望し自ら命を絶った一人の農民の残した「原爆を落とされた日本になぜ原発があるのか」という慟哭の言葉を心に記すべきであると考える。
2011年7月21日
2012年2月19日、元気象研究所・増田善信氏を講師に迎えて、第12回講演と対話のつどい「放射能汚染への対応を考えるー原発ゼロは今すぐでも可能ー」が開催され、60余名の参加者がありました。
増田氏は講演のなかで、核連鎖反応や放射線被曝のわかりやすい説明、チェルノブィリとの比較を交えた汚染状態の紹介、放射能除染、原発に依存しないエネルギの可能性など、多岐にわたる話題を提供しました。
福島原発事故は三つの人災が重なったものとし、ここ100年でも大きな津波が8回もあったのに大津波を想定しなかったこと、廃炉をおそれて対策が遅れたこと、過酷事故を想定した訓練をしていなかったことを指摘しました。放射線に対しては、「おそれて、こわがらず」が基本とし、弱い放射線でもある確率で病期になるので危険であるが、無闇に危険を煽るのも間違いで、被爆の確率を上げないように注意することの大切さを強調しました。現在の原発は未完成の技術なので撤退すべきで、当面は省エネ・自然エネルギの活用・火力発電の高効率化を組み合わせて電気をまかなっていくことを提案しました。
会場との対話の中では、原子力規制委員会にまともな人を入れることが大事であること、これだけのことがあっても学術会議でまともな議論がなされていないのが残念であること、特定の症状がでた人を全員被曝者と認めて救援することの大切さが言及されました。
講演スライド(lecture_120219.ppt 17.5MB)
2011年1月16日(日)に、講演と対話の集い「日米軍事同盟と憲法9条の価値---安保50年 軍事同盟はどこまできたか---」を開催しました。約35名の参加者が、講師の安保破棄中央実行委員会事務局次長・東森英男氏と、日米安全保障条約の問題点や憲法を守る運動・軍事力によらない安全保障のありかたなどについて討論を行いました。
集いの様子はニュース27号をご覧ください
2010年5月23日に、川田忠明氏(日本平和委員会常任理事、日本原水協担当常任理事)を迎えて、第10回講演と対話の集い「2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議と平和の流れ、憲法9条」を開催しました。川田氏はNPT再検討会議での行動を交えながら、NPT再検討会議の歴史と今回の会議の特徴・普天間基地問題・世界の平和共同体などについて講演し、次のようなことがらを強調しました。
核兵器拡散条約(NPT)は、核兵器の不拡散・平和利用の権利・核軍縮交渉を定めているが、本質は5ヶ国による核兵器独占である。5年ごとに運用状況を点検する再検討会議が開かれていて、ソ連崩壊後は東西対立から核保有国と非核保有国の対立に焦点が移っている。核軍縮停滞の危機感の中で諸国政府と市民運動の共同が発展している。今回の会議では国連事務総長がNGO集会にやって来て共同を訴えたり、NPT会議議長が署名の到着を待ち受けて受け取り、それに答える演説を行うなど前代未聞の共同ができていた。
普天間基地問題については、政権交代に伴って外国軍が基地を撤去する確率が80%を超えているのに、日本政府は抑止力として必用・安保条約があるからという理由で『移転」にしがみついている。在沖海兵隊は介入と侵略のための攻撃部隊で、抑止力として説明するのはむりがある。
戦争を抑止する力としては、経済・外交・相互依存関係を作ることが最も有効である。東南アジア諸国連合、中南米カリブ海諸国連合、アフリカ連合など地域共同体ができている。これらの地域共同体が発展して、核兵器が欲しくなるような怖れがなくなれば、非核地域/核兵器廃絶につながる。
川田氏の講演につづいて、KEK九条の会・稲垣隆雄氏と憲法九条土浦の会・福田勝夫氏から、それぞれの会の活動が紹介されました。
KEK九条の会:KEK平和の会が母体になって発足。月例会をひらき、学習を重ねている。核開発における核物理学者の責任・署名の力を認識し、「核兵器のない世界を」署名の実践につなげた。 KEK九条の会ホームページ
憲法九条土浦の会:歌声広場や忘年会など楽しみながら活動を始めた。中学校区ごとに会ができ始めており、保守の人々も含めた次世代に向けた運動になっている。報告・連絡・相談のボランティアの鉄則で運営していて、世話人会に参加するのが楽しみという人が多い。
2009年12月6日(日)、大穂公民館で、講演と対話のつどい--貧困と格差が教育を破壊 憲法を活かそう!--が開催され、約30人の参加者がありました。
集いでは、千葉県立壇橋高等学校教諭・千葉県高等学校教職員組合副委員長の角谷 信一氏が講演を行い、貧困のためアルバイトを余儀なくされている高校生アルバイトの実態と問題点を指摘し、働くルールをとりあげた授業の実践を報告しました。また、茨城県高等学校教職員組合委員長の岡野 一男氏が、話題提供として、経済的にアルバイトをせざるを得ない高校生の実態や、労働条件についても権利を知ることが大切であることなどを話しました。
講演資料:
労働基準法を学ぶ (lecture_091206.pptx)
「働くルール」を学ぶ高校生 (lecture_091206.doc)
9条の会ニュース( PDF 3.9MB)
2009年5月24日(日) 、石附 澄夫氏(国立天文台)を招いて、第8回講演と対話の集い「日本の宇宙開発と憲法9条の価値」を開きました。
石附氏は、最近のいろいろな宇宙観察の事例や「自主・民主・公開」の原則のもとで平和的分野で発展してきた日本の宇宙開発などを紹介しながら、衆参わずか2時間の審議で成立した宇宙基本法の問題点を指摘しました。宇宙基本法には、宇宙の軍事利用の解禁・宇宙技術の軍事機密化・宇宙開発を推進する宇宙開発戦略本部から「有識者」が削除されているなど、問題のある条文があり、宇宙基本法のもとでは、日本による宇宙の軍事利用が進む・日本でも「軍産複合体」が誕生する可能性がある・学問が軍需産業の下僕になるといった危険性があると批判しています。
宇宙基本法にもとづいて「宇宙基本計画が制定されようとしているなかで、石附氏は自身のパブリックコメントを紹介して、「政府のアリバイ作りかもしれないが、こういう時に意見を言っておくことが大切だ」と強調しました。また、科学技術に関する問題についてどのように取り組んだら良いかという質問があり、何につけ情報公開をしていくことが大切で、インターネットやメールで興味を持つ人に伝えることも有効であろうという助言がありました。
石附氏はご自身のホームページに宇宙基本計画に関する資料や見解を載せていますので、ご参考にしてください。
2008年12月7日、姉歯 暁氏(駒澤大学経済学部教授)が「消費者の立場から見た日本の食糧問題と憲法9条の価値」を講演しました。つくばからは、森川辰夫氏(元農研センター、元弘前大学教授)による「日本農業の現状と再生への課題」、池長裕史氏(農研機構中央農研、全農林筑波地本委員長)による『国立研から独法へ、農業研究は今どうなっているか」と題する話題提供がありました。つどいには40名余りが参加し、活発な討論がありました。
姉歯氏は、日本の穀物自給率が27%と飛び抜けて低いことを指摘し、消費者の立場でみた農業を守ること、農業の基盤を守ることの必要性を訴えました。自給率が低いのは日本の農業政策にあり、日本の農業が日米経済協力関係にもとづく輸出型工業を中心とした経済政策のいけにえになってきたこと、アメリカとのMSA協定によってアメリカの農産物と競合しないものだけを作るようにしていること、日米安保条約によって日本政府がアメリカの経済を助けることを重視していることなどを指摘しました。 また、水資源の制約などで農業生産増がみこまれず、食糧需要の増加などで金があっても食糧が手に入らない時代になるかもしれないこと、飢餓人口のある中で、輸出国の自然を壊しながらの食料輸入は、土・命を輸入していることになるという見方を示しました。
森川氏は、全農林の農業再生運動で、消費者に「農業がつぶれたら困るのは消費者」と訴えた経験などを交え、経済的に割の合わない農家が残っているのは「営農生活権」を死守してきたからと説明しました。いま頑張っている人に希望を持ってもらうには農業再生の呼びかけが大切で、これ以上悪くしないという宣言をすることが大事であると呼びかけました。池長氏は独法制度の概要・農業関係機関の組織の変遷を説明しました。毎年組織の見直しをやっていることによる業務量の増大や、人員・運営費交付金の削減、企画立案と事務実施部門を分離したことなどの問題点を指摘し、これで自給率を向上させる技術開発が進むのかと現状を批判しました。
会場との討論では、バーチャルウォータの考え方、貧弱な食文化をもたらしたのは経済効率中心の考え方であること、遺伝子組み換え作物について、各国の農業保護政策などについて意見交換がありました。
2008年5月25日、元立命館大学教授・和田 武氏を招いて、「地球温暖化防止と再生可能エネルギーの普及〜戦争のない平和な持続可能社会の構築を目指して〜」と題する講演が行われました。また、地球温暖化に関して、森林総合研究所・清野嘉之氏が「地球温暖化緩和への森林の役割」、産業技術総合研究所・歌川 学氏が「CO2 排出実態と排出削減推進について」の講演を行いました。
和田氏は、シミュレーションによる炭酸ガスと気温変化の予想を紹介し、2℃を超える温度上昇で不可逆な重大影響が予想されること、この10〜20年できちんと炭酸ガスを抑えないと1000年オーダで重大な影響がありうることを示しました。温暖化対策費用はGDPの1%くらい必要になるが、日本だったら軍事費または道路特定財源程度の規模であり、予算面でも軍事と環境はリンクしているとしました。また、日本では市民レベルの取り組みがとくに大切になると訴えました。
清野氏は、森林を地球温暖化緩和に役立たせるために、気温上昇を2℃以内にとどめること、森林減少を食い止めて森林面積を確保すること、再生可能林産物の利用を図ることの大切さを訴えました。歌川氏は、炭酸ガス排出源としてクルマや発電所の増加が目立つことなどを紹介しながら、どこに問題があるか見極めて対策を講じることの大切さを訴えました。建造物やエネルギ機器の効率には大きなばらつきが有り、機器更新時に最新技術のものを導入することが効果的な炭酸ガス削減になることを示しました。
2007年12月2日(日)に、進藤栄一教授を招いて講演と対話の集い「北東アジアの平和の構築と9条の役割」を行い、42名の聴講がありました。
講演では次のような点が話されました。
9条は「アジアとは関係ない」という論があるが、政治、外交をみる時、外側からではなく、内側から見るべきである。9条は、世界史の流れの中からできたし、日本人の手で作られたものである。今「9条の会」が6000以上もできて活動していることが、日本の歴史を変えつつあり、下からの動きが政治を動かしつつある。
21世紀は「不戦の世紀」である。情報化が地域間距離をゼロにし、経済的相互依存関係が戦争をできなくしている。安全保障についても、環境や食料、エネルギーといった非軍事的課題が中心を占め、国家間の相互依存が進化し、軍事力が意味を持たない、国境を低くするほうがよい時代である。
東アジア共同体を実現すべく努力しているが、北東アジアというと北朝鮮、韓国、中国も含むことになり現実性がない話だ。ASEAN10カ国は1967年にTAC(平和友好条約)を作り、戦争をしない、非核平和、内政不干渉を哲学にしていて、共同体の「運転手」としてプログラムを着々と進めている。それに、日、中、韓が含まれることが重要である。
2007年6月17日、弁護士の笹本 潤氏による「世界の中での憲法9条の普遍性」と題する講演が行われ、憲法9条が世界やアジアからどう見られているかについて、ご自身の世界をまわった体験に基づいて話されました。
「今、9条の問題を国際的にとらえる必要がますます大きくなってきています。『グローバル9条キャンペーン』をおこなっているが、その意義は日本の9条を守る運動のために、海外の9条への声を日本の市民に伝える。世界の非軍事の平和運動のために9条の「武力によらない平和」の考えを世界に広めることにあります。」
講演は、世界の各地で撮ったインタビューをビデオで再現した臨場感のあるものでした。
講演後、会場からの質問、意見などで対話が行われました。 講演と対話の概要
2007年1月28日(日)、大穂公民館で第3回講演と対話のつどい「北朝鮮問題と憲法9条の価値」がもたれ、約40名の参加者がありました。
まず、開会の挨拶を世話人の米谷宏氏(写真)が行いました。ご自身の特攻隊員としての体験に触れながら、昭和19年に初めての特攻が出撃したこと、学徒動員がなされたこと、天皇陛下万歳といって死んでいったことなどを話し、今の若い人たちに如何に戦争の悲惨さを伝えるかと述べました。
次いで、田村武夫茨城大学教授(憲法学)による「北朝鮮問題と憲法9条の価値」とする講演が行われました。講演と対話の概要
閉会の挨拶を澤田紀一氏が、司会を、河村俊二氏が行いました。
2006年8月20日(日)、第2回講演と対話のつどい「つくばでの研究所平和宣言運動(1987年)を考える」が開かれました。平和宣言は、軍事研究は行わないなどを内容とするもので、多くの研究所で宣言され、その後の研究のありかたに大きな影響を及ぼして来ました。つどいには約50名が参加し、研究所平和宣言の意義と現在の課題などについて話し合われました。
話題提供:
資料:
2006年4月23日(日)、筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会主催の講演と対話のつどい「科学者にとっての憲法9条を考える」が開かれました。会場のつくば市大穂公民館には80人の参加者が集い、平和憲法を守っていく上での科学者の役割などを熱心に議論しました。
講演・話題提供:
会の運営費用のために、できましたらカンパをお送りください。
郵便振替口座番号:00120-4-501101 名称:筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会
(振り込み用紙の必要な方はこちらに請求してください。)
visitors to this page since March 2006: 2342, today's visitors: 1