暴走する安倍内閣の狙いは何か
ーー「第九条」の国を「安保」の国に
=[憲法の語り部」になろう=
はじめに
- 安部晋三内閣総理大臣の執念は、あらゆる手段を用いて、日本国憲法を蹂躙し、日本を戦争しない「第九条」の国から、侵略戦争までする「安保」の国に改変する事にある。
- そのために「積極的平和主義」を提唱している。
- 『侵略戦争する「安保」の国』を作る理由は何か
- 「積極的平和主義」の探検に行こう
- 私たちの課題を考えよう
安倍内閣総理大臣の言う「積極的平和主義」
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「積極的平和主義」は、「第九条」を否定する観点から生まれた観点。
「第九条」は、「時代遅れの空想的な一国平和主義」(1991年1月17日開始の中東湾岸戦争の時、アメリカ主導の多国籍軍がイラクを攻撃。日本の参戦に反対する国民を批判するために作られた。西岡武夫自民党総務会長が1991.1.14に発した言葉。日本は戦費110億ドルを支出)「消極的平和主義」である。
- 安倍内閣総理大臣の発言から「積極的平和主義』の内容を考察すれば、それは
- 日本に対する脅威を軍事力で克服する立場
- 紛争のあるところ、どこでも軍事力を以って積極的に介入し、それを暴力的に解決する立場、
のことになる。
- 「積極的平和主義」は、積極的に軍事活動を起こす「積極的戦争主義」のこと。
- 「積極的平和主義」の基礎は、「日米安保条約」体制である。
日米安保条約の本質
現在の日米安保条約は、次の4つのもので形成されている。
- 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(1960.1.19 締結・1960.6.23発効 1960年日米安保条約)
- 「日米安全保障共同宣言21世紀に向けての同盟」(1996.4.17成立 橋本龍太郎内閣総理大臣とクリントン大統領の署名)
- 「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」(1997.9.23作成)
- 「日米両国首脳の合意文書 新世紀の日米同盟」(2006.6.29発表 小泉純一郎内閣総理大臣とブッシュ大統領)
それぞれの条約・合意文書の内容
- 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」
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- 日本のアメリカへの経済協力(第二条)
- 日本の軍事力増強の義務付け(第三条)
- 日本国と在日米軍基地が攻撃を受けたらアメリカと日本は共同で戦争を行う。その場合には国際連合・安全保障理事会に報告する(第五条)
- 日本の米軍基地設置義務(第六条)
- 対象範囲は極東(第六条)
- 在日米軍の取り扱いは、国会が関係できない行政協定で定める(第六条)
- 条約の終了は1970年以降からは日米両国からの一方的通告で成立する(第十条)
- 「日米安全保障共同宣言21世紀に向けての同盟」
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- 日米安保条約の対象範囲を、極東から原則としてアジア太平洋地域(場合によっては全世界)に拡張する
- 日本周辺地域で、日本の平安と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態)が生じたら、日本とアメリカは自国への攻撃がなくても共同で戦争する
- その戦争の方法は、新しい「ガイドライン」で定める。(1978.11.27作成の「日米防衛協力のための指針」を見直す)
- 「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」---2つの戦争の方法を定めている。
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- 「日本に対する武力攻撃がなされた場合」の戦争の方法。
- アメリカの判断で、日本と在日米軍への武力攻撃が生じたとされた場合、日本国内とその周辺海域で、アメリカ主導でアメリカ軍と自衛隊が共同で「戦闘」を行う。
- また、アメリカ軍と自衛隊は相互に「後方支援」を行う。
- 「周辺事態が生じた場合」の戦争の方法
- アメリカの恣意的判断で「周辺事態」が生じたとされると、日本とアメリカへの攻撃がなくても、日本とアメリカは共同で「戦争」を行う。
- その場合、日本は日本列島全体をアメリカの基地にして、アメリカの「後方支援」を行う。
- 「日米両国首脳の合意文書 新世紀の日米同盟」
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- 日米安保条約の対象範囲を「地球的規模」に拡張する。
- 二国間経済関係を更に深化させる。世界の経済問題に関する協力を強化する。
現在の「日米安保条約」は日本の対米従属国かを規定し、かつ全世界で侵略戦争を展開する、世界一凶暴な軍事条約となっている。
日本の対米従属化は、
- 日本の経済力をアメリカの経済力の発展のために総動員する、
- アメリカの戦争に日本の国力を総動員する、
という2つの柱で構築されている。
「積極的平和主義」の行方
21世紀の日米安保条約体制は「地球的規模の日米同盟」体制である(2006/6/29発表の「新世紀の日米同盟」より)。したがって「積極的平和主義」は、
- 主目的:アメリカの利益(アメリカの国家の利益、アメリカの多国籍企業の利益)のために、アメリカの指示のもとに、アメリカと共に、あるいは日本単独で世界中の紛争に軍事力を持って介入して、軍事的解決を行う。
- 副目的:日本の利益(日本の国家の利益、日本の多国籍企業の利益)のために、アメリカの指示のもとに、日本単独であるいはアメリカとともに、日本の脅威に対して軍事力を用いて対処する。
- アメリカと日本が世界を支配するために、アメリカの破産同然の経済を救うために、台頭する中国と「戦争」を行う。
「積極的平和主義」の名で日本が世界中で戦争する大義名分に、「大東亜共栄圏」(1941.12.8開始の太平洋戦争を始める理由)の発想を導入しようとしている。
大東亜共栄圏の発想
第二次近衛文麿内閣がアジア諸国を侵略するために決定した「基本国策要綱」にある「大東亜新秩序の建設」を受けて、松岡洋右外務大臣が作った言葉。
日本は、アメリカ、イギリス、フランスなどの白人帝国主義をアジアから追放するために、アジア諸国に軍隊を派遣する。アジア諸国は、日本を盟主にして、アジア共同体を作って栄えようという侵略思想。アメリカ・イギリスとの太平洋戦争に発展していく。
- 日本は侵略戦争をしたのではない。アメリカ・イギリス、オランダが日本のアジア諸国の解放を妨害しようとしたから戦争を起こしたのである。
- 日本軍はアジア諸国の独立のために戦った。
- 日本軍は天皇の軍隊だから悪いことはしない軍隊だ。
- 南京大虐殺(南京を占領。中国人民を殺害10万人とされている)はない。
- 従軍慰安婦に軍は関与していない。
- 従軍慰安婦は当たり前。
- 靖国神社参拝は当たり前。
NHK会長の籾井勝人氏の発言は、NHKが「積極的平和主義」の放送局となることの表明。百田尚樹経営委員の発言も。
- 日本の「積極的平和主義』は、中国と戦ってアジア諸国を中国から解放するためのものであると言うようになる。
「大東亜共栄圏」の発想は、第二次世界大戦後の国際秩序(ドイツ・イタリア・日本が悪いことをしたから、それを反省して出発した)を否定するものとして、世界中から批判を受けている(その否定の象徴となる安倍内閣総理大臣の靖国神社参拝(2013.12.26)に対する批判-アメリカ、中国、大韓民国、EU、国際連合事務総長、ロシア、シンガポール)
「積極的平和主義」を実行するという理由で「戦争する日本」を作るために、内閣のやっている事
- 戦争指導機関となる「国家安全保障会議」を創設した(2013.12.4発足)
- 国家の持つ軍事・外交情報を国民から隠蔽できるようにするための「特定秘密保護法」を制定した(2013.12.6)
(特定秘密の保護に関する法律の特色)
- 戦争するための国民に隠したい軍事情報や外交情報を、行政機関の長が恣意的に「特性秘密」に指定し、その特性秘密を漏らした者、盗んだ者、そのことを共謀した・教唆した・煽動した者とされた者を逮捕し、処罰する法律である。
- 国民は知ることのできない「特定秘密」の鎖につながれて、公安警察・自衛隊情報保全隊・公安調査庁の監視を受け、突然の逮捕に怯えながら暮らして行かなければならない。
- 国民の中から密告する人が出てくる。
- 逮捕され、起訴されても、取り調べでも法定でも「特定秘密」は開示されないので、無罪の弁明は不可能となり、救われることは絶望的となる。
- 行政機関は、戦争を正当化する情報しか出さないので、戦争を批判する人は「特定秘密」を盗んだという理由で弾圧されることになる。
- 武器の輸出を禁止した「武器輸出三原則」(1967.4.21宣言)を廃止した(2013.12.6閣議決定)
- 教育の国家統制を可能にしようと画策している。
- 地方教育行政法・学校教育法・国立大学法人法の改正案の国会提出。
- 自治体首長に教育長の任命権と教育大綱の策定権を与える。教育大綱は内閣の「教育振興基本計画」の「基本的な方針」を踏まえて決める。内閣(国家)による教育の国家統制が行われる(地方教育行政法の改正案)
- 大学の教授会から教育研究の重要事項(人事・オリキュラム)を審議する権限をとりあげ、学長が握る。教授会を学長の諮問機関にする(学長に意見を述べる。学生の入学、卒業・終了学位授与についての意見を述べる。学長の必要と認める場合に意見を述べる)(学校教育法の改正案)。大学の自治は失われ、国家の大学統制が可能になる。
- 国立大学で委員の半数を学外者で構成する「学長選考会議」に学長選考基準を定める権限を与える(国立大学法人法の改正案)。
- 学長選考会議の作る基準は、文部科学省が決めた各大学のミッションに基づいて作られるので、文部科学省の方針を実行する人が学長になる。
- 新しい「教育勅語」教育が小学校から大学まで貫かれるようになる。
- 集団的自衛権の行使を可能にしようと画策している。
- 集団的自衛権は、自国が攻撃を受けていないのにも関わらず、同盟国を攻撃している国を自国が攻撃を受けたとみなして、同盟国と共同で攻撃する権利。
自国が攻撃を受けていないのに、他国を攻撃するのは「侵略」であるから、集団的自衛権は侵略する権利である。
- 日本国憲法第九条は個別的自衛権(自国への攻撃を軍事力を持って単独で反撃する権利)も、集団的自衛権も放棄している。
- 第九条のもとでは、集団的自衛権を行使することはできない(1981.5.29付け鈴木善幸内閣の答弁書)
- 集団的自衛権を行使できるようにするという事は、第九条を抹殺することである。
- 第九条を終えないで解釈で第九条を死に至らしめて、集団的自衛権を行使するのは、ドイツのヒットラーの手法であり、”憲法クーデター”である。
集団的自衛権の行使容認の新しい見解の登場
- 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)の報告書(2014.5.15安倍内閣総理大臣に提出)
→安倍内閣は「政府の基本的方向性」を表明
- 第九条のもとで、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を取ることは禁じられていない」(1959.12.16 砂川事件の最高裁大法廷判決)。
そのための必要最小限度の武力の行使は許容される。したがって、限定的に集団的自衛権を行使することは許される。(同趣旨 2014.3.31自民党の「安全保障法制整備推進本部」(本部長:石破茂自民党幹事長)での高村正彦自民党副総裁の説明)
- しかし、同判決は、集団的自衛権を問題とした事件の判決ではなく、日米安保条約を問題として、第九条を歪めた解釈で、日本は個別的自衛権を有しているから、日本を守る目的の日米安保条約は合憲であるとした判決である。したがって、この判決から、集団的自衛権の行使は許されるとする趣旨のいかなる見解も導き出すことはできない。
- それに、集団的自衛権は侵略する権利であるから、「国の存立を全うするための集団的自衛権は許される」は「国の存立を全うするための侵略は許される」となるが、この見解が公式の見解となったら、世界中が腰を抜かすであろう。
- 「必要最小限度の集団的自衛権の行使」が認められると、最後は「必要最大限度の集団的自衛権の行使」となってしまう。
(石破自民党幹事長の発言:集団的自衛権の行使について[まずは限定した事例からスタートし、さらに広げることができる」 2014.5.2 ワシントン市内での講演)
積極的平和主義の到達点
- 積極的平和主義は、戦争する国家を作って、日米安保条約に基づいてアメリカとともに世界中で侵略戦争をする日本を作ることを目的にしている。
- 日本が世界中で侵略戦争をするためには、
- 国力をその戦争に総動員しなければならない。
- その戦争に反対する国民や政党や団体を弾圧しなければならない。
- そのためには「ファシズム」が必要になる。
この「ファシズム」は、日米安保条約から生まれるものであるから、「安保ファシズム」となる。
- 「安保ファシズム」を日本に成立させようとして、自民党は「日本国憲法改正草案」を作成した。
「安保ファシズム」とは、
- 強大な軍事・警察・官僚機構を柱とする中央行政権力専制統治機構を持ち、
- 反対派のいない、アメリカと財界翼賛議会を持ち、
- ファシズム化した大企業を持ち、
- 右翼化・反動化したマスメディアや労働組合や宗教団体及び暴力集団などを協力隊として持ち、
- 熱中したファシズム支持層を持ち、
- 天皇をそれの精神的総括者の地位に置く、
- アメリカ至上主義型米日核軍事同盟体制を基礎とする対米従属の「日本型ファシズム」である。
私達の課題
- 日本国憲法「第九条」こそ「積極的平和主義」の立場である。
- 軍隊と武器と戦争を積極的に捨てる。
- 紛争を話し合いで解決する。
- 敵に対して報復をしない(和解の手を差し伸べる)。
- 暴力や貧困や差別をなくすことができる(軍隊と武器と戦争があると、それらをなくすことができない)
- 私達は「第九条」の支持に自信を持とう。
- 私達は「第九条」を世界に広めよう。国内でももっと広めよう。
- 「積極的平和主義」を実現するために「平和的福祉国家」を創ろう。
- 「平和的福祉国家」を創るために「改憲阻止国民会議」を作ろう。
「平和的福祉国家」を創ろう。
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「平和的福祉国家」を創る理由
- 21世紀は、「世界中のすべての人が、日本中のすべての人が、平和のもとで幸福になる権利がある」という時代である。「動植物も地球もそうである」という時代である。
- 21世紀は戦争を仕掛けた国が敗北する時代となった。
- 21世紀は、国際紛争を「話し合い」で解決しなければならない時代となった。
- 21世紀は、軍隊不要の時代となった。
- 21世紀は「第九条」が人類の「導きの星」となる時代となった。
*人間の幸福:
平和(戦争・軍隊・武器・貧困・暴力・差別がない)のもとで、
- 必ず食べること・着ること・住むことができること、
- 必要なときに必ず働くこと・休むこと・学ぶこと・医療を受けることができること、
- 心と身体と職業と財産が他者に統制されないこと。
- 「平和的福祉国家」とは、
- 戦争と軍隊と武器を放棄し、
- 平和と地域と環境と福祉と民主主義と能力開発(学問)と基本的人権を尊重する国家。
- 対外的には、
いかなる国にも脅威を与えず、いかなる国とも対等に付き合い、世界中から貧困・病床苦・文盲・飢餓・売春などを絶滅させる活動を行う、地球環境を保護する活動を行う国家。
- 対内的には、
平和のもとで(戦争・軍隊・武器・暴力・差別・貧困・高速がない元手)誰もが必ず食べること・着ること・住むことができること、必ず医療を受けること・学ぶこと・働くこと・休むことができることを保障する国家。
- 「平和的福祉国家」は、日本国憲法が目指している国家。
「改憲阻止国民会議」を作ろう
『議会(国会・自治体)の「統一戦線」(政党+会派+無所属)』と『議会外=社会の「統一戦線」(個人+団体+政党)』が団結
- 統一戦線の原則:この原則を踏まえて「指導部」を選出する。
- 個人・団体・政党の「参加資格の平等」
- 自己のうちにある「独善主義の克服」
- 自他者に対する「反共主義の克服」
- 相手に対する「寛容主義の堅持」
- 「非暴力・平和主義の貫徹」
- 「謀略資金・外国資金の不導入」
- スローガン
- 日本国憲法の「全面的開花」
- 「平和的福祉国家」の樹立