4月23日(日)、筑波研究学園都市研究所・大学関係9条の会主催の講演と対話のつどい「科学者にとっての憲法9条を考える」が開かれました。会場のつくば市大穂公民館には80人の参加者が集って、4名の講演・話題提供を受け、平和憲法を守っていく上での科学者の役割などを熱心に議論しました。
話題提供者・講演題目
講演の概要
第2次世界大戦の中で、日本はアジア諸国を侵略し犠牲を強い、また日本国民も多くの苦難に直面してきた。そのとき、本来平和を説くべき日本の科学者も、例外的な正義派を除き日本軍国主義に加担し、時にはアジア侵略に積極的な役割をも演じてきた。そして、その反省に立って日本の科学者は、
という到達を築いてきた。
日本の科学者は憲法を護る運動の先頭に立つ条件と責任がある。科学者としての立場と特性を活かした運動としては、次のようなことが有効であろう。
1966年(昭和41年)第8回半導体物理国際会議が米軍から2200ドルの資金援助を受けたことが問題となり、翌年、物理学会は決議3として、「日本物理学会は今後内外を問わず、一切の軍隊から援助その他一切の協力を持たない」と決議し、その後物理学会の予稿集には必ず決議3が記載されてきた。
日本の高エネルギー加速器研究機構がホストとして主催したLinac94(1994年の加速器研究の国際会議)において、SDI構想を背景として、米軍から資金提供を受けたビーム兵器の研究論文が発表されることをめぐって、国際会議の実行委員会に物理学会決議3を守るように申し入れを行なった。申し入れの趣旨が十分反映されたとは言えないが、国際会議実行委員会の主催で会議中にインフォーマル・ミーティングが開催され、「軍事研究」をめぐって、海外の研究者との討論を行った。また、原爆パネルの展示も行われた。
この経験をもとに科学者が立ち上がれば輪が広がり、国際的にも一石を投じることができることが確信でき、こうした経験を憲法9条を守る運動に生かしたい。
国土地理院は戦前、陸軍省陸地測量部として、地図作りをする機関として発足した。
地図記号は、陸軍が行軍するための情報だったこと。たとえば橋梁は鉄橋か、木橋か、徒橋か等に細かく分類され、その情報は即ち戦車が通れる橋か、人が通れる橋かなどの軍事情報だったこと。昭和4年以降軍施設がある地図は空白となったこと、中国や満州、シベリアに軍隊が行く前に真っ先に陸軍省陸地測量部派遣され、地図をつくったが最前線に行って、犠牲になっても靖国神社に合祀されなかった。
最近の情勢では、北朝鮮のテポドン発射をきっかけとして情報収集衛星があげられ、軍事利用と目的とした部署が国土地理院の中に作られていること地図情報が軍事機密になってきている。
国土地理院の労働組合が国民のための地図作りをするためには9条を守り抜くことが重要である。
なぜ、政府が国民投票法を急いでいるのか?自民党の憲法改正案は出たが政府の案としての憲法改正案は出ていない。政府がどのように改正しようとしているかはまだわからない。
国民投票法案は憲法を改正するための国民のムード作りをしているのではないか。最終的に国民が投票するが、国民投票は国民主権主義の一形態なので、選挙で国民が投票所に行かない状況を変えなければならない。いま、国民主権主義による議会制民主主義が閉塞状態にあるのではないか。そこに国民投票を導入させることによって、利用して憲法改正をしようとしているのではないか。
憲法改正案では96条の国会の発義を議員の3分の2から議員の過半数とするとしており、「改正手続きのところだけを改正する」と言えばわりと国民に受け入れられるので、最初に96条を改憲してそれを突破口として次に9条を変えるという二段構えの構想もあるようだ。
つどいでの討論では、次のような意見が出されました。