2007年6月17日、 弁護士の笹本 潤氏による「世界の中での憲法9条の普遍性」と題する講演が行われ、憲法9条が世界やアジアからどう見られているかについて、ご自身の世界をまわった体験に基づいて話されました。
今、9条の問題を国際的にとらえる必要がますます大きくなってきています。「グローバル9条キャンペーン」をおこなっているが、その意義は日本の9条を守る運動のために、海外の9条への声を日本の市民に伝える。世界の非軍事の平和運動のために9条の「武力によらない平和」の考えを世界に広めることにあります。
「北朝鮮が攻めてきたら」という改憲派の主張に対して、そもそも軍事で対応すべきか。9条改定がアジアに脅威を与える視点を考えるべきだ。「9条を守る」のは非軍事の運動の流れの中で真に実現できる。軍事にたよらない国際環境があってはじめて「脅威論」や「自衛軍」が出てこなくなる。
9条の国際的普遍性のひとつは、あらゆる戦争の放棄である。1920年代のアメリカの戦争非合法化の運動が出発点となって、1928年の不戦条約、1947年の日本の憲法9条1項に結実している。9条を起草した幣原・マッカーサーにもこの戦争非合法化の思想が間接的に影響している。本来は自衛戦争も含めたすべての戦争の禁止、条文上も無条件の禁止である。今、アフリカ、南米などでそれが現実的に求められるようになっている。ボリビア大統領も「戦争放棄条項を憲法に盛り込む」といっている。
普遍性の第二は軍隊の放棄、武器の放棄であり、9条2項は、連合軍による日本の武装解除というのが直接のきっかけだが、戦争非合法化の思想をより徹底したものである。戦争の手段の禁止という意味では、武器の廃絶も共通の考え方で、現在のアフリカでも痛切に求められている。
9条の現実的機能・規範力として、
講演は、世界の各地で撮ったインタビューをビデオで再現した臨場感のあるものでした。
講演後、会場からの質問、意見などで対話が行われました。(岡田)