講演と対話のつどいの感想 堀田博之

 河井氏が国民投票の問題点として、

「自民党の新憲法草案は、だんだんとその真意が見えて来つつある。自民党としても、万が一にも岩国の住民投票のように負けることがあってはならないと真剣である。そして絶対負けない仕組みを国民投票法に組み込もうとしている。岩国では米軍基地機能移転反対のデモも行われたが、賛成のデモも行われ、住民投票で反対しようという働きかけも大規模になされた。その最たるものが言論弾圧の仕組である。すでに民主勢力のビラ配布の弾圧では予行演習を始めているようだが、法案ではマスコミに対する露骨な干渉が準備されている。とりわけお金を取った国民の新聞意見広告などを禁止しようとしている。近年国の政策に対する賛成側の宣伝がめだっており、それは取り締まらずに反対側だけを弾圧することが予想される。まさに権力側も必至の構えで臨もうとしている」
と指摘してしていることに現実に迫っている事態の深刻さについて認識を新たにしました。そして河井氏が参加する人類共同社会研究会 ( human@u01.gate01.com )が発行するCOMPAXというCD-Rの本No.3への、九条の会事務局長の小森陽一氏の投稿「運動の質をどう変えるか」に考えさせられました。小森氏は次のように指摘します。
本当に、有権者の「過半数」に、「九条の会」の「アピール」に賛同してもらう運動を実現できるのかが、勝つための焦眉の課題である。確かに、「かけ声」としては「有権者過半数署名」等、いろいろかけられている。しかし、これまでのいかなる民主的運動も、「過半数」に達したことはなかった。その総括と、では実際に実現するためには、どのような段取りと手だてが必要になるのか、どのような運動形態でやっていくのか、ということを、それぞれの地域の個別性に即して考えぬき、そこにふさわしい新しいやり方をいくつも発明しなければ、絶対に実現できない。希望的観測とはおさらばしよう、活動家への期待も捨てよう(なぜなら情報産業化した大手マスメディアは、国民を思考停止させるためにしか機能しないから)。数十人の地域のグループからはじまって、その居住区の有権者の過半数に、実質的に「憲法九条を中心とする日本国憲法」を「選び直し」、「主権者」になってもらうための運動を、具体的な積み重ねとして、どうつくっていくのか。その一日一日の方針を立てているのかどうかが問われているのである。
 改憲成立の条件である国民過半数の賛成が必要というのは確かな歯止めだろうか?「大丈夫だろう」などという希望的観測は全く根拠がないのではないか。

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