災害にまぎれて憲法改変を進める動きに警戒を!

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 今年は、震災・原発事故の余波によって、憲法記念日も多少とも取り紛れた観がありました。ところが、憲法を変えようとする勢力はあたかもこの世相に乗じるかのように動き出していて、油断ならない情勢となっています。

 改憲手続き法(いわゆる国民投票法)が公布から3年を経て昨年5月に発効しました。民主、自民、その他の諸党をひっぱっている改憲勢力は、それに従って改憲を実施することが既定方針であるかのように、衆参両院に「憲法審査会」を設置して改憲案の具体化を進めようとしてきました。そして、手続き法の発効から1年を限度と決めていたのでしょうか、まさにその日、5月18日に参議院で憲法審査会の設置を定めた運営規程が可決されました。

 改憲勢力の第一の目的である第9条改変は世論の支持を得ていません。それを指摘して審査会設置に反対したのは共産・社民両党のみで、2年前に衆議院の運営規程可決には反対した民主党も、今回は自民・公明・みんなの党などとともに積極的賛成に回りました。

 今回、彼らが改憲を求める理由の一つとして、現憲法に「危機管理条項がない」ことを挙げているのを見ると、そのご都合主義に空恐ろしい気がします。これまで、地震や原発の問題も含め、憲法の精神に基づいて国民の安全と福利を守るための議論が国会でもたびたび行われてきたにも関わらず、安全神話を振りかざして無視し続けたのは彼ら改憲を望む諸党ではなかったでしょうか。これらの諸党が「危機管理」を理由に更に強権を握るような憲法改変はごめんです。いささかも警戒をおこたらず、その動きを注視していかねばならないでしょう。