<開会あいさつ> 福本  安倍内閣は、もともと憲法を変えようとしていたのではないかと思うのですが、それが皆さんの反対で不可能ということで、結局集団的自衛権というようなことで憲法を変えないで日本を変えていこうという道をとったわけです。  昨年の12月に特定秘密保護法が通った時に、思い出したことがあります。私は中学生の時に半年間、陸軍造兵廠で働いていまして、そのとき一番最後にあたった旋盤が、それまで使っていた旋盤に比べて精度が格段に良くて、何工程もの加工を手を加えないで次々に加工できる自動旋盤で、いままでの旋盤とあまりに違っていました。ネームプレートが削り落としてあったので、班長さんにこの旋盤はどこのメーカのものかと聞きました。初めはなかなか相手にしてくれなかったのですが、しつこく聞きましたら絶対に人に言うなということで教えてくれたのは、明治39年製のアメリカ製だということだったんです。軍の秘密というのはてっきりレベルが高いから秘密になっているのかと思っていたら、実はこういう事が軍の秘密なのだということで、愕然としました。今回決められた特定秘密保護法も、どういう使い方をされるのか分かったものではないと、非常に不安に思っております。  現在の憲法は、基本的には戦争をしない、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という文言があるわけでして、これが全く現在の安倍内閣が取ろうとしている方針とは逆でございます。いま非常に微妙な段階に達しているわけですが、これをどうやって止めたらよいものか、本日は金子先生にお話いただけるという事で、ご清聴をお願いいたします。 <講師紹介> 緒方  今日金子先生をお招きして、「暴走する安倍内閣の狙いは何か?「第九条」の国を「安保」の国に -- 憲法の語り部になろう--」のテーマに沿ってお話を伺いたいと考えています。  金子先生と私は大学の教授になりたての頃から40年来の付き合いでして、私の方から金子先生を簡単にご紹介します。  金子先生はこの3月で立正大学を定年でやめられて、現在は立正大学法学部名誉教授という肩書きで活動されています。金子先生はこれまで、憲法学・政治学・社会科学論、主にマルクス主義の立場から憲法論と国家論を中心に社会科学方法論についてずっと研究を続けられております。もうひとつ、今の日本国憲法ができる段階で、連合軍総司令部が最も素案作りで参考にしたとされている憲法研究会の憲法草案がありますけれど、憲法研究会の主力メンバーでありました鈴木安蔵さんの最後のお弟子さんになります。  現在は東京で「自民党の憲法草案を読む」という会を開催しております。これは安倍内閣が潰れるまでやっていこうということで、月一回の勉強会をやっています。それ以外にも全国各地でこういった会合に講師として呼ばれて、本日と同様の内容でお話をされているようです。長くなりましてもいけませんので、さっそく金子先生のお話を伺うという事で、どうかご清聴をおねがい申し上げます。